LPG燃料推進LPG/アンモニア運搬船「ENEOS GUNJO」の引き渡し

川崎重工は、86,700m3型LPG(液化石油ガス)燃料推進LPG/アンモニア運搬船「ENEOS GUNJO」(当社第1757番船)を引き渡しました。

本船は、従来の84,000m3型LPG運搬船から積み荷容量を拡大し、アンモニアの運搬も可能にした当社の最新船型となるLPG燃料推進86,700 m3型LPG/アンモニア運搬船の第2番船となります。LPG燃料推進機関を採用した船としては9隻目、当社が引き渡したLPG運搬船としては72隻目となります。

 

今回引き渡したLPG/アンモニア運搬船は、低炭素なエネルギーとして既に活用されているLPGと、脱炭素社会の新たな燃料として将来的に活用が期待されるアンモニアを混載して同時に運搬することができます。また、世界の主要LPGターミナルに入港できるよう全長や幅などの船体主要目を従来船型から大きく変えることなく、カーゴタンクの容積を増量しました。

 

全世界的に強化されつつある環境規制ならびにSDGsに代表される具体的な行動計画を踏まえ、当社は今後も、LPG燃料推進LPG運搬船、LPG/アンモニア運搬船をはじめとする環境規制に対応した各種商船や、次世代エネルギーとして注目されている液化水素運搬船など、地球環境にやさしい船舶技術を開発・提供し、低炭素・脱炭素社会の実現に貢献していきます。

 

<主要目>

 
全長×幅×深さ 229.90 m × 37.20 m × 21.90 m
満載喫水 11.65 m
航海速力 約17.0 ノット
定員 29 名
総トン数 49,541 トン
載貨重量 56,531 t
貨物倉容積 86,904 m3
主機関 川崎-MAN B&W 6G60ME-C10.5-LGIP 1基
船級・船籍 日本海事協会(NK)・パナマ
引渡日

2023年9月29日

 

<特 長>

  • 主機関には、当社製の舶用電子制御式液化石油ガスインジェクションディーゼル機関(ME-LGIPエンジン)「川崎-MAN B&W 6G60ME-C10.5-LGIP」を採用しています。LPGを燃料とすることで、従来の燃料油使用時に比べ、排気ガス中のSOx(硫黄酸化物)、CO2排出量を大幅に削減でき、SOx規制※1およびEEDIフェーズ3※2に適応しています。
  • NOx(窒素酸化物)3次規制※3に対応したシステムを採用し、主機関は排ガス再循環装置(EGR)※4、発電機関は選択式還元触媒脱硝装置(SCR)※5を適用しています。本システムにより、従来の低硫黄燃料油使用時でもNOxの排出規制海域(ECA)を航行することが可能です。
  • プロペラ周りにカワサキフィン付ラダーバルブならびにコントラフィン付セミダクトおよび省エネフィンを装備することにより、燃料消費量の低減を図っています。
  • 本船は、アンモニアを船舶燃料として使用するためのコンセプトデザイン承認を日本海事協会より取得しており、将来、アンモニアを船舶燃料として利用可能な仕様への変更が可能です。

 

※1 SOx排出規制:

船舶からの排出についてはIMOにより、2015年1月から欧米の排出規制海域(ECA)において、燃料中硫黄分0.1%以下のSOx排出規制が実施されています。また、2020年1月からはその他の世界の全海域を航行する船舶に対し、硫黄分が0.5%以下の燃料を使用するか、排ガス中からのSOxを同等に低減する代替装置を使用することが義務付けられています。

※2 EEDI(Energy Efficiency Design Index)規制:

1トンの貨物を1マイル運ぶ際に排出されるCO2のグラム数として定義されるエネルギー効率設計指標(EEDI)を用いて新造船の省エネ性能の規制値への適合を強制する国際規制。EEDI規制値は建造契約日と引渡日に応じて段階的に強化されます。大型LPG運搬船やLNG(液化天然ガス)運搬船など一部の船種では、2022年以降の建造契約船からフェーズ3(基準値から30%のCO2削減)が要求されます。

※3 NOx排出規制:

船舶からの排出についてはIMOが規制を行い、2016年から実施されている3次規制では、欧米の排出規制海域(ECA)を指定海域として限定し、1次規制値からさらに80%の削減が規定されています。

※4 排ガス再循環装置(EGR):

主機関の排気ガスの一部を清水で洗浄し燃焼空気として主機関に戻すことで、燃焼空気の酸素濃度と燃焼温度を低下させ、窒素が高温下で酸化反応することを抑制することにより、NOxの排出量を低減する装置です。また、排気ガスの洗浄に使用した洗浄水は、煤(すす)分や油分等を除去し、無害な状態に処理され船外へ排出されます。

※5 選択式還元触媒脱硝装置(SCR):

発電機関の高温の排気ガスに尿素水を噴霧するとアンモニアに分解され、チタン・バナジウム系などの触媒を介して排気ガス中のNOxと反応し、窒素と水に還元することで、NOxの排出量を低減する装置です。

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